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2007年9月28日 (金)

ケアの思想と対人援助

 先日読んだ本が「ケアの思想と対人援助 終末期医療と福祉の現場から」という本。この本は医療従事者がケアが必要になった患者に対してどのように対人援助をしていくかということについて書かれた本です。著者は村田久行で現象学を専門とする哲学者。この本を手に取った理由はもともと現象学には興味があっていくつか本を読んでは見たけれど、現象学を医療の現場に持ち込んだらどのようになるのか?と思ったからでした。
 まず、著者は「他人の理解と共感」が対人援助の現場で困難な理由をデカルトの近代的自我に求めます。近代的自我の立場に立つ限り、論理的には他者の精神は推測でしか知り得ないことになってしまいます。デカルトの近代合理主義を前提としたキュアを目標としている医療現場では、「他人の理解と共感」が原理的に難しいということになります。実際の医療現場で治らない病気の人に対してや、いわゆる検査結果で異常がないけれど何らかの訴えをする患者さんに対して医療者がどのように接すればよいのか分からず、戸惑ってしまうのもそのような理由からといいます。
 不治の病や癌の末期の患者さんがその疾患を受け入れる過程を示したモデルとして「キューブラー・ロスの死の受容」があります。その「死の受容」の過程をハイデガーの実存主義に重ねて解説します。これが結構分かり易くてよい。
 その上でケアの対人援助過程を4段階に分けて説明します。
第一段階 実存状況の把握
第二段階 ニーズの表明
第三段階 援助
第四段階 望ましい結果
第二段階の実存状況を構成する現事実をニーズへと抽出し、具体化するという過程がいかにも現象学の臭いを感じます。対人援助を実際どうしたらよいのかが知りたいところなのですが、少し説明が言葉足らずな気がしなくもない。具体例をもう少し挙げて説明してもらえるとすんなり頭に入りそうですが、まだ私の理解がついていっていない気がします。もう少し修行が必要です。

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コメント

実は先生がこれなかった勉強会で、私が話題提供者のとき、質的研究についての話をしたんですよね。
そのときに現象学についても少し触れたけれど、参加者に興味を持ってもらえんかった。
院の授業で、現象学について少しやったんだけど。かなり私の的にはまったんですよね。
この本、読んでみたいと思います。
貸してほしいです。

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